102 誰が来ても追い出せない

「神崎さん」秘書室のみんなが彼を見かけると、急いで呼びかけた。

神崎東平は神崎創映には勤めていなかったが、株式は持っていた。

神崎卓礼の伯父として、ここに来ると、神崎創映の社員たちは相応の敬意を示した。

「この方は我が市の大澤書記のお嬢様で、特別に会社で実習に来られたんです。社長はどこですか?」と神崎東平は尋ねた。

「社長は会議中で、オフィスにはいません」と葉月香音は急いで答えた。

「私のタイミングが悪かったでしょうか?神崎兄がお忙しいようで」と大澤依乃は申し訳なさそうに言った。

「大丈夫だよ、君は他人じゃないんだから。彼がいないなら、直接彼のオフィスで待とう」と神崎東平は大きく手を振って決めた。

元々、神崎卓礼が不在の時は誰もオフィスに入れないというルールがあった。