道乃漫は視線を戻すと、ある考えが浮かんだ。
その時、社内メールに通知が届き、道乃漫がそれを開くと、全社員向けの通達だった。
警告書を受け取った者は全て、全社員向けのグループメールで通達されることになっていた。
今回の通達は、誰もが息を飲むほどのものだった。
社長秘書室全体で、葉月香音が一人で二通の警告書を受け取り、他の者は一通ずつ、大澤依乃も一通だった。
それだけではなく、リストの各名前の後ろには、警告書を受け取った理由も添付されていた。
秘書室のメンバーは、社長の命令を無視し、勝手に人を社長室に入れたためだった。
葉月香音は最も重大で、部外者と共謀して社内の同僚をいじめたとされていた。
今年中にもう一通警告書を受け取れば、葉月香音は解雇されることになる。
一方、大澤依乃は上下関係を無視し、勝手に社長に近づこうとし、社長と親しいと思い込んでいた。
メールを見ながら、大澤依乃は誰かに強く平手打ちされたかのように、頬が火照るように痛んだ。
彼女は神崎卓礼が単なる言葉だけでなく、本当に警告書を出し、さらに全社員に通達するとは思っていなかった。
全社員の前で彼女の面子を丸潰しにしたのだ。
大澤依乃は歯ぎしりしながら、目に熱いものを感じ、怒りに赤く染まった目で道乃漫を見つめた。
全て道乃漫のせいだ、絶対に許さない、覚えておけ!
葉月星はメールを閉じ、信じられない様子でオフィスを飛び出し、葉月香音を探しに行った。
「何しに来たの?まだ私を巻き込み足りないの?」葉月香音は葉月星を見るなり腹を立てた。「あなたを助けようとしなければ、こんなことにはならなかったのに。」
矢崎芳彤は嫌悪感を込めて彼女を一瞥した。この姉妹は似たもの同士で、どちらも善人ではない。
彼女自身も警告書を一通受け取り、怒っていた。
彼女と藤井暁羽は完全に葉月香音に巻き込まれたのだ。葉月香音が大澤依乃に取り入ろうとしなければ、こんなことにはならなかった。
今日からは、葉月香音を決して楽にはさせない!
「姉さん、どうして全部私のせいにするの?」葉月星は不満そうに言った。彼女はこの責任を背負いたくなかった。