136 今日の昼、道乃漫が社長を訪ねてきたのを見た

道乃漫が上がってきた時、葉月香音は階下で出前を受け取っていたため、道乃漫を見かけなかった。

道乃漫が食事を終えて出てきた時、葉月香音に見つかってしまった。

葉月香音の視線は道乃漫の顔から神崎卓礼のオフィスへ、そしてまた道乃漫に戻り、軽蔑的な表情を浮かべた。

本当に厚かましい女だわ、まだ社長を誘惑しに来るなんて。

昨日社長が彼女を庇ったからって、自分が特別だと思い込んでいるのかしら?

道乃漫がどんな口実で中に入ったのかは知らないけど、この時間を見れば、社長は相手にしなかったはずよ。

社長のような頭脳なら、道乃漫の下心が分からないはずがない。

葉月香音は道乃漫も警告メールを受け取る日を待っていた。

道乃漫は葉月香音が何を考えているのか分からなかったが、良からぬことに違いないと思い、無視して自分のオフィスに戻った。

戻って山積みの書類に向き合い、道乃漫は心を落ち着かせて作業を続けた。

退社時間になっても、道乃漫はまだ終わっていなかった。

葉月星は意地悪く言った:「これらの書類は明日の会議で使うから、今日中に終わらせなさいよ。」

道乃漫は彼女を無視し、夏川清未に電話をかけて、今夜残業すると伝えた。

大澤依乃が駐車場に向かっていると、突然「大澤さん!」という声が聞こえた。

そして、葉月香音が慌てて近づいてくるのが見えた。

葉月香音はオフィスで午後ずっと待ち、メールを何度も更新していたが、道乃漫への警告メールは一向に来なかった。

そこで、彼女は思い切って大澤依乃を探しに来たのだ。

「何?」葉月香音を見た大澤依乃は昨日の恥ずかしい出来事を思い出し、良い顔をしなかった。

葉月香音はそれを見なかったふりをした。大澤依乃が信用できるかどうかに関わらず、他に選択肢がなかった。

それに、道乃漫を見逃すわけにはいかない!

「大澤さん、お伝えしなければならないことがあります。」葉月香音は神秘的に近寄った。

「何の用?」大澤依乃はいらだった様子で。