136 今日の昼、道乃漫が社長を訪ねてきたのを見た

道乃漫が上がってきた時、葉月香音は階下で出前を受け取っていたため、道乃漫を見かけなかった。

道乃漫が食事を終えて出てきた時、葉月香音に見つかってしまった。

葉月香音の視線は道乃漫の顔から神崎卓礼のオフィスへ、そしてまた道乃漫に戻り、軽蔑的な表情を浮かべた。

本当に厚かましい女だわ、まだ社長を誘惑しに来るなんて。

昨日社長が彼女を庇ったからって、自分が特別だと思い込んでいるのかしら?

道乃漫がどんな口実で中に入ったのかは知らないけど、この時間を見れば、社長は相手にしなかったはずよ。

社長のような頭脳なら、道乃漫の下心が分からないはずがない。

葉月香音は道乃漫も警告メールを受け取る日を待っていた。

道乃漫は葉月香音が何を考えているのか分からなかったが、良からぬことに違いないと思い、無視して自分のオフィスに戻った。