道乃漫が上がってきた時、葉月香音は階下で出前を受け取っていたため、道乃漫を見かけなかった。
道乃漫が食事を終えて出てきた時、葉月香音に見つかってしまった。
葉月香音の視線は道乃漫の顔から神崎卓礼のオフィスへ、そしてまた道乃漫に戻り、軽蔑的な表情を浮かべた。
本当に厚かましい女だわ、まだ社長を誘惑しに来るなんて。
昨日社長が彼女を庇ったからって、自分が特別だと思い込んでいるのかしら?
道乃漫がどんな口実で中に入ったのかは知らないけど、この時間を見れば、社長は相手にしなかったはずよ。
社長のような頭脳なら、道乃漫の下心が分からないはずがない。
葉月香音は道乃漫も警告メールを受け取る日を待っていた。
道乃漫は葉月香音が何を考えているのか分からなかったが、良からぬことに違いないと思い、無視して自分のオフィスに戻った。