道乃漫は自分を軽蔑せずにはいられなかった。神崎卓礼の追求を受け入れなかったのだから、表面上冷淡な態度を取っているのなら、こんな気持ちを抱くべきではない。
そうでなければ、自分自身を見下すことになる。
心の中の失望を必死に押し殺し、選択をした以上は後悔しないようにと自分に言い聞かせた。
傷つくのを恐れながらも手放せない、これは彼女がすべきことではない。
やっと冷静さを取り戻せたと思った矢先、突然神崎卓礼に手を握られた。
彼と比べると、彼女の手はとても小さく見えた。
彼の掌の中にすっぽりと包まれ、その温もりは秋の夜の冷たい風も通さず、道乃漫はかつてないほどの暖かさを感じた。
神崎卓礼は顔を下げた。彼の手は白く、翡翠のように美しく、指の関節がはっきりとしていて、とても綺麗だった。