160 彼の可愛い子は、なぜこんなに優秀なの

大澤依乃は思案を巡らせ、「それなら私を選ぶべきだったはず。なぜ道乃漫なの?」

「私の知る限り、あなたが自ら審査に参加したいと申し出た時点では、審査内容が森田林の復帰に関するプロモーション企画だとは知らなかったはずですよ」藤井天晴は、大澤依乃が審査内容を知った時の表情がどれほど印象的だったかを覚えていた。

彼女はその時、自ら審査に参加すると申し出たことを後悔していただろう。

「誰が...誰がそんなこと言ったの!」大澤依乃は藤井天晴の言葉の意味を察し、「私が誰だか分かってるの?神崎叔父が早くから審査のことを教えてくれたのよ。本来なら参加する必要なんてなかったけど、面白そうだったから参加してみただけ」

「そうであれば、あなたが提出した企画案の内容を説明してください」藤井天晴は無表情で言った。