「違うはずがないでしょう。あなたのパソコンに差し込まれていたんですから。あなたのものじゃないなら、誰かが差し込んだとでも?」IT部の同僚は不機嫌そうに言った。
「つまり、あなた自身のミスでパソコンがウイルスに感染したということですね、ふふ。」
「そう考えると、さっきの夏川夢璃の言葉も、そこまで的外れじゃなかったかもね。」
「そうよね、彼女が故意にやったかもしれないじゃない。」
同僚は口を尖らせて、意見を述べた。
道乃漫は眉一つ動かさず、皮肉っぽく言った。「そうね、本当に誰かが差し込んだのかもしれないわ。」
IT部の同僚も道乃漫の言葉の調子がおかしいことに気づき、USBメモリーを机の上に置いた。「とにかく原因は特定できました。後は皆さんで対応してください。パソコンは明朝まで返却できません。会社の内部システムを再インストールする必要がありますから。」