162 きっと故意でしょう、あなたのことをもっと好きになるように

「でも、会えないのが辛いわ」神崎卓礼は彼女を抱き上げ、ドアに押し付けた。頭を下げることなく、彼女の唇に触れることができた。

話しながら、彼女の柔らかい唇を撫で、彼女の口の中に自分の味を染み込ませた。

道乃漫は思わず笑みを浮かべた。神崎卓礼の端正な顔には、彼女への愛情が隠すことなく溢れていた。

このように優秀で清廉な男性は、まるで高い神殿に立ち、人々を見下ろす存在であるかのようだった。

前世を思い出すと、彼は彼女にとって手の届かない存在だった。

しかし、そんな遠く高貴な男性が、今では彼女をこんなにも愛し、優しく接してくれている。

彼の目に宿る深い愛情と寵愛は、偽りようのないものだった。

道乃漫は彼の肩から手を離し、代わりに首に回して、初めてこんなに積極的にキスをした。