神崎卓礼は声を抑えたものの、その喜びは隠せなかった。
「好きじゃないのに、どうして私があなたの彼女になることを承諾したと思うの?」道乃漫はそう言いながら、彼の唇に軽くキスをした。
神崎卓礼は彼女をしっかりと抱きしめ、後退させることなく、強く唇を重ねた。「今のその言葉、忘れないでよ。好きになった以上、心を取り戻すことは許さない。あなたの心は私のものだ、取り戻すことなんてできない。」
男の表情は真剣で、その目に宿る執着は恐ろしいほどの濃さだった。
しかし道乃漫は少しも怖くなかった。彼の顔を両手で包み、鼻先を寄せ合わせながら言った。「わかったわ。神崎卓礼、私はあなたが好き、どんどん好きになっていく。今、たとえあなたが心を取り戻せと言っても、もう取り戻せない。取り戻したくても無理、私の意志ではどうにもならないの。」