デュランが株主の甥でも駄目だ。
「会議室で話しましょうか?」道乃漫は神崎卓礼の仕事の邪魔をしたくなかった。
「ここで大丈夫だよ。特に何もすることないから」と神崎卓礼は言った。
森田林は「へへ」と笑って、「おや、神崎兄、兄嫁さんをいじめるとでも思ってるの?」
「そんなことないさ。彼女をいじめることなんてできないよ。彼女は凄いんだから」神崎卓礼の顔には得意げな表情が溢れていた。
森田林は口角を引きつらせた。誰が神崎卓礼がこんな恋する男になるとは思っただろうか。
「じゃあ、ここで話しましょう」森田林も場所にはこだわらなかった。
「企画案の件は一旦置いておきましょう。それは長期的な話ですから。まずは今夜のチャリティーナイトについて。記者の取材があるので、予め想定される質問を考えてみました。私が質問しますので、どう答えるのが適切か相談しましょう。失礼な質問があっても気にしないでください」と道乃漫は言った。