182 芸能界に入らないのが惜しい

「もう私のことを父親とも思っていない、この不孝者め!」道乃啓元は眉をひそめた。「今、私が気になっているのは、彼女と神崎卓礼との関係だ。」

「どんな関係があるというの」夏川清翔は道乃漫を軽蔑していた。「彼女は森田林に手を出したのに、神崎卓礼が彼女に目をつけるはずがないわ。神崎卓礼はお節介な人だし、道乃漫はいつも演技が上手いから、会社で私たちの悪口を散々言っているに違いないわ。会社の従業員という立場で助けてあげるのは十分ありえるけど、神崎卓礼が彼女に惚れるなんて、絶対にありえないわ。道乃漫程度の女が?神崎卓礼が誰かを好きになるとすれば、それは私たちの琪でしょう。道乃漫に何があるというの!」

「でも、お姉さんはとても有能で、神崎創映に入社して間もないのに、もうチャリティーディナーに参加できるようになったわ。私たちとは違って...」道乃琪は落ち込んで目を伏せた。

「何が有能よ、彼女は単に計算高いだけよ」夏川清翔は口を尖らせた。「そうでなければ、どこの会社がこんなチャンスを新人に与えるの?啓元、あなたの会社ではそんなことある?」

「もちろんないさ。新人にはまだ学ぶことが多いし、それに古参の社員に対して公平じゃない」道乃啓元は考えれば考えるほど腹が立った。「本当に私の顔に泥を塗りやがって!」

「彼女が会社で一体何をしているのか知りたいわね」夏川清翔は目を光らせた。「啓元、道乃漫の同僚から何か聞き出す方法はないの?」

道乃啓元は目を光らせ、「誰かに聞いてみよう」

***

チャリティーディナーのこちらでは、森田林は今影響力が落ちているものの、ディナー終了時のスター集合写真には参加することになっていた。

道乃漫は小声で言った。「さっき言う時間がなかったんだけど、後で集合写真を撮る時、真ん中に寄らないでね」

森田林は今、後列に立つことになるだろう。それも後列のセンターポジションには立てないだろう。

毎年のチャリティーナイトでは、センターポジション争いが起きるが、それは主に女優たちの間で起こる。

とぼけたふりをする者もいれば、策を巡らす者もいる。中には直接奪い取ろうとする者もいて、見苦しい光景だ。