171 家に帰ろうか、私の家に

神崎卓礼は道乃漫を抱きしめながら、腕をさらに締め付けた。「俺がいる限り、誰にもお前を利用させない」

「うん」道乃漫は鼻声で答え、神崎卓礼の胸に顔を埋めて頷いた。その動きで彼の胸元を擦り、神崎卓礼の体温を上昇させた。

前世では彼女には頼る人がいなかったが、今世では神崎卓礼が愛し守ってくれている。彼の腕の中にいると、とても安心できた。

高橋はバックミラーを通して見ながら、自分を気の毒に思い、黙って後部座席の仕切りを上げた。

道乃漫:「……」

こんなのがあるなら、もっと早く上げておけばよかった!

高橋も随分と自虐的だ。

高橋が完全に見えなくなったのを確認すると、神崎卓礼はさらに大胆になった。

道乃漫が彼の腕の中で大人しくしているのを見て、心がむずむずしてきた。

頭を下げて道乃漫の唇を見つけると、そのまま口づけた。