「今から三人を追い出したい」神崎卓礼は冷たい声で言った。
さっきから外に座って、ずっと道乃漫を見ていた。
道乃啓元が道乃漫の後を追って行くのを見て、神崎卓礼は夏川清翔と道乃琪もいるのに気付いた。
「今から?」南條景衡は一瞬驚いて、「今夜のゲストのことか?」
「ああ、大した人物じゃない。道乃琪を知ってるだろう?」神崎卓礼は尋ねたが、目は道乃啓元を見ていた。
道乃啓元は目を見開いた!
彼らは招待状を持っているし、座席の配置もネットで公開されている。
南音チャリティーナイトでゲストを追い出すなんて前例を聞いたことがない。
招待状を出した以上、主催者側が慎重に検討して招待した人のはずだ。どうして招待しておいて追い出すことができるのか?
神崎卓礼は大きなニュースを作りたいのか!
「聞いたことがある」南條景衡が率いる南音グループは、国内最大のメディアグループだ。道乃琪のことを知らないはずがない。「どうしたんだ?」
「お前らのチャリティーナイト、最近ゲストの選び方が適当だな。誰でも招待するのか」神崎卓礼は遠慮なく南條景衡に文句を言った。「今日は道乃琪が両親と一緒に来てる。言っておくが、この三人は俺の目障りだ」
「……」南條景衡は冷や汗を流した。「彼らに何か恨みでもあるのか?」
神崎卓礼は冷たい目で道乃啓元を睨んだ。道乃啓元の表情は今、泣き顔よりも酷かった。
神崎卓礼が見ていない隙に、道乃啓元は道乃漫を鋭く睨みつけた。
この娘は借りを取り立てに来たようなものだ!
同じ娘なのに、なぜ彼女と道乃琪はこんなにも違うのか!
道乃琪はとても思いやりがあって、何事も彼のことを考えて、すべてにおいて彼を第一に考える。
道乃漫はいつも彼に逆らい、しかも道乃漫が関わると、良いことは一度もない。
彼女のせいで、今では神崎卓礼を怒らせてしまった。
道乃啓元には分からなかった。神崎卓礼が道乃漫を気に入らないのなら、なぜ道乃漫を助けようとするのか。
きっと道乃漫が神崎創映に、自分と道乃琪の何かを言いふらしたに違いない。
小さい頃から、道乃漫は彼に良い運を一度ももたらさなかった。
あの頃、夏川清未がまだ妻だった時、彼のビジネスはどれほど苦しかったことか。
道乃琪が生まれてからこそ、ビジネスは日に日に良くなり、会社は日に日に大きくなった。