178 実はあなたたちは招待リストにありません

「でたらめを言うのか？」神崎卓礼は素早く前に進み、道乃啓元の胸を蹴り、彼を地面に倒した。

道乃啓元はもがいても無駄で、怒って道乃漫に言った。「お前は目が見えないのか？彼が私にどうしたか見えないのか！」

道乃漫は「ふふ」と笑い、天井を見上げた。

彼女は本当に見えなかったのだ。

「この不孝者め！」道乃啓元は激怒した。

「卓兄、そっちは何であんなに騒がしいんだ？何があったんだ？」南條景衡は電話で尋ねた。

「道乃琪の最近のスキャンダルは知っているだろう。頼みがあるんだが、道乃琪と彼女の両親を追い出してくれないか。今後のチャリティーナイトには、こういう連中には招待状を出さないでくれ」神崎卓礼は冷たく言った。

「了解」南條景衡にとって、それは全く問題ではなかった。

道乃琪なんて大した人物でもないし、気にかける価値もない。

たとえトップスターでも、彼らの目には、ただの小物タレントでしかない。

まして道乃琪なんて言うまでもない。

「トイレに人を寄越してくれ。道乃啓元がここにいるが、自分からは出て行きそうにない」神崎卓礼は言った。

道乃啓元は立ち上がり、怒りで震えながら言った。「何の権利があって私たちを追い出すんだ？神崎卓礼だからって好き勝手できると思っているのか？」

「メディアに言いふらしても構わないぞ。どのメディアが報道できるか、見物だな」神崎卓礼は道乃啓元の考えを見透かして言った。「道乃琪を芸能界から消したいなら、今すぐ大声を出すといい」

道乃啓元は顔を真っ赤にして、すぐに黙り込んだ。鶏のように静かになった。

道乃漫は冷笑した。道乃啓元が本当に慈愛深い父親だとは思わなかった。

道乃琪のためなら、こんなにも自分を抑えられるとは。

しばらくすると、このパーティーの警備員が二人駆けつけ、道乃啓元を引っ張って連れて行った。

「私には招待状があるんだぞ、何の権利があってこんなことを！」道乃啓元は叫んだ。

しかし、叫ぶだけで精一杯だった。神崎卓礼にも南條景衡にも逆らえないことは分かっていた。

同時に、別の警備員二人が道乃琪のテーブルへと向かった。

「お父さんはまだ戻って来ないわね」夏川清翔が見回しながら言った。