元々の招待リストには道乃琪の名前はなかったが、毎年何人かのスターが様々な手段を尽くして、彼女の部下の招待担当者から招待状を手に入れていた。
毎年2、3枚ほど漏れ出るのは、ごく普通のことだった。
今年も部下が彼女にこの件について尋ねてきた時、蒼井維真は道乃琪が今はスキャンダルに囲まれているものの、それ自体が話題性があり、チャリティーナイトの注目度を上げることができると考えて、承諾した。
まさか南條景衡が直接関心を示し、彼女の仕事ぶりを非難するとは思わなかった。
そのため、道乃琪が蒼井維真を恨む前に、蒼井維真が先に道乃琪を恨むことになった。
自分がスキャンダルに囲まれていることを知っているのに、なぜ目立とうとするのか。
自分の分際をわきまえていないのか?
道乃琪がまだ何も言わないうちに、夏川清翔が先に爆発した。「どういうつもりですか?単なる手違いで済ませるつもり?招待状には私たちの琪の名前が書いてあって、テーブルの名札にも私たちの名前が書いてあるのに、これが手違いだと?」
「お母さん」道乃琪は緊張して夏川清翔の腕を掴んだ。「お母さん、もういいです」
彼女は今の立場では蒼井維真に逆らえない。
しかし、この屈辱をどうやって飲み込めばいいのか?
「蒼井姉、私はずっとあなたを尊敬してきました。でも今回は、私の顔を地面に叩きつけて踏みつけるようなものです。これは単なる手違いで済まされることではありません」道乃琪は屈辱の涙を目に浮かべながら言った。「ただ本当のことを教えていただきたいんです。一体なぜ、私たちを帰らせようとするんですか?」
チャリティーナイトに来て追い返されたことが知れ渡れば、芸能界でどうやって生きていけるというの?
これからは誰もが彼女を踏みつけることができる!
蒼井維真はもちろん南條景衡のことは言えなかった。「確かに手違いでした。今回は私たちの非です。ご安心ください、この件は誰にも漏らしません」
「帰りません!」夏川清翔はその中の事情を知らなかった。
彼女は普段は専業主婦として過ごしており、芸能界のことについては半分も理解していなかった。
道乃琪のキャリアはすべて道乃啓元が管理していて、夏川清翔は蒼井維真が芸能界でどれほどの地位を持っているのか全く知らなかった。
雑誌の編集長なんて、大したことないと思っていた。