「私の洗い方が間違ってる?」神崎卓礼は道乃漫の視線に気づき、振り向いて尋ねた。
口角には微笑みが浮かび、道乃漫の心を奪っていった。
道乃漫は心の中で呟いた。「罪作りね、まさに色男は人を惑わすわ」
道乃漫は息を呑み、少し据わっていた視線を戻して、「ううん、いいわよ」
心の中では、自分がこんなに恥ずかしい様子を見せるなんて、もう彼氏なのに、毎日会っているのに、まだ彼の色気に魅了されてしまうなんて、と思っていた。
神崎卓礼は悟ったように彼女を見て、唇の端の笑みを少し大きくした。「君が見ていてくれるのは嬉しいよ。どこか違うところがあれば、言ってくれ」
道乃漫は顔を赤らめて何か呟き、視線を逸らした。
「これでいい?」神崎卓礼は洗い終えた青菜を突然彼女の目の前に差し出した。