187 婿?

神崎卓礼は笑いながら水を受け取り、一杯飲んで、「大丈夫だよ、早く家に帰ろう」と言った。

夏川清未が返事をすると、神崎卓礼は一人で全ての荷物を引き受け、一緒にトランクに入れた。

道乃漫と夏川清未は気付かなかったが、神崎卓礼が車で出口から出て行った直後、BMWの3シリーズが入口の隣の車線から向かってきた。

武田立则が運転していて、ちょうど向かい側の神崎卓礼のベントレーミュルザンヌを見かけた。

見覚えがあるような気がしたが、中の人が見えなかったので、神崎卓礼のことは考えもしなかった。

結局、同じような車はたくさんあるし、神崎卓礼がここにいるとは全く思いもよらなかった。

ちらっと見ただけで前方に目を向け、病院の駐車場に車を停めた。

武田立则は入院病棟に行ったが、病室は空っぽだった。