186 後悔するなよ

道乃漫は笑って言った。「森田林が知ったら、道乃啓元が彼をモルモットにしているなんて、どう思うでしょうね？あなたは道乃琪が私を陥れたことを忘れたんですか？私が彼女を助ける理由なんてありません」

道乃啓元は一瞬躊躇してから、気まずそうに言った。「あれは全て誤解だ。お前の妹も無実だ。当時の証拠は全てお前を指していたから、琪が誤解してしまっただけだ」

「彼女が人を傷つけて、私に罪を押し付けたのに、彼女が無実？誤解？それとも全て父さんの仕業で、彼女は何も知らなかったって言うつもり？」道乃漫は心から可笑しく思い、これ以上話す気にもならなかった。「私は彼女を助けません。他を当たってください。優秀な人はたくさんいるでしょう。私だけじゃないはずです」

道乃啓元はもちろん、優秀な人材が道乃漫だけではないことを知っていた。

現在、業界で最も優秀な広報会社は二つあり、その一つは神崎創映の広報部だった。正確には会社とは言えず、神崎創映の一部門に過ぎなかった。

しかし彼らは外部の案件は一切受け付けなかった。

神崎創映の芸能人だけでも、十分に忙しかったのだ。

もう一つは、和泉子霖の「霖意広報」だった。

しかし和泉子霖は神崎卓礼と非常に親しい関係にあり、道乃琪の案件は絶対に引き受けなかった。

他の広報会社については、能力は本当に平凡で、彼は探してみたものの、どこも金を払わなければ提案すら出さなかった。

様々な比較検討の末、一社を選び、金も支払ったが、提案は何通りも出されたものの、どれ一つとして目を見張るものはなかった。

全て平凡な提案ばかりで、これらの提案通りにやれば、道乃琪は芸能界に残れたとしても、一生頭角を現すことはできず、以前の栄光を取り戻すことなど望めなかった。

そのため、道乃啓元は道乃漫のことを思いついたのだ。

今は確かに多くの金を稼いでいるが、そんな役立たずの提案に金を無駄遣いしたくはなかった。

そうなると、道乃漫が最適な選択となった。

道乃啓元も、道乃漫がこの分野でこれほどの才能を持っているとは思っていなかった。

しかも、道乃漫に道乃琪の件を任せれば話は別だった。

一銭も払う必要がなく、道乃漫は大人しく道乃琪のために働かざるを得なくなる。