「どうするって?早く新しい仕事を探すしかないでしょう。でも、いい仕事が見つかるかどうか分からないわ」葉月星は話し始めるとまた泣き出した。「全部道乃漫のせいよ。なんで私とこんなに対立するの?やることが酷すぎるわ」
「あなたって本当にバカね!彼女が会社でどうしてそんなに特別待遇されているか分かってないの?」葉月香音は首を振った。「今日のお昼、オフィスから出てきたとき、私は彼女が藤井天晴にお弁当を持って行くのを見たわ」
「本当に最低な女ね。誰とでも関係を持とうとするなんて!藤井天晴なんて秘書なのに、そんなのでも構わないなんて!」葉月星は怒りを露わにした。
「藤井天晴のことを軽く見ないほうがいいわよ。社長付き特別秘書よ。部長でさえ彼に対して丁寧な態度を取るのよ。毎日社長の側にいて、何か頼み事があっても、度を超えなければ、社長は気にせず、ちょっと手を貸してくれるわ。だから見てよ、道乃漫は今、順風満帆でしょう?」葉月香音は一旦話を止め、ウェイターが持ってきたメニューを受け取って、いくつか料理を注文した。
「とにかく今はもうこうなってしまったんだから、他のことを言っても仕方ないわ。私が言ったことは口外しないでね。一度痛い目に遭ったんだから、覚えておきなさい。何でも衝動的に話すのはやめなさい。彼は社長についているから、人脈がとても広いの。もしあなたがまた道乃漫に関わって、藤井天晴を怒らせたら、PR業界で生きていけなくなるわよ。信じる?」葉月香音は彼女に警告した。
彼女は葉月星よりずっと賢かった。二通の警告状を受け取った後は、大人しくしていた。
道乃漫を陥れようとしたときも、大澤依乃を通じてだった。
葉月星のように自分で直接行動するなんて、バカじゃない?
アホだから解雇されて当然よ。
葉月星は痛い目に遭って、もう二度とそんなことはできない。
葉月香音が言った可能性を考えると、葉月星は怖くて仕方がなかった。「絶対に言わないわ!でも道乃漫が良い思いをしているのを見て、私がこんなに惨めな思いをしているなんて、どうしても納得できないわ!」
「それでどうするの?」葉月香音は少しイライラした様子で言った。「他に何ができるっていうの?何もできないでしょう。まずはおとなしく仕事を探すことね。神崎創映から解雇されたんだから、大手の会社に入れるかどうかも分からないわよ」