209 指紋検査に行く勇気はある？

「でも星は成功しなかったじゃない！今や会社中があなたが冤罪だったことを知っているわ。噂を広めたのは星だってことも。これだけでも星にとっては十分な罰でしょう。どうしてまだ許してあげられないの？」夏川夢璃は葉月星を支えながら言った。

葉月星は夢璃の胸の中で委縮して啜り泣いた。

道乃漫は冷笑を浮かべた。失敗したからといって、その悪意は無視できるというのか？

「夏川夢璃、あなた大学時代からキャバクラで働いて、卒業後はスポンサーの愛人になって、男に三回も堕胎させられて、今じゃ妊娠できない体になってるんでしょう」道乃漫が突然言い放った。

「何を言い出すの！」夏川夢璃は激怒し、道乃漫を指差しながら体を震わせた。「デタラメを！」

これは全部嘘だ！

夏川夢璃は誰かが信じてしまうのを恐れ、慌てて左右の同僚を見回した。「彼女の言うことを信じないで、全部嘘よ！道乃漫、あなた頭がおかしいわ！」

「確かに私の言ったことは嘘です。でっち上げです。どうせ誰も信じていないのに、そんなに怒る必要がありますか？」道乃漫は微笑んだ。

「嘘だって分かってるなら、なんでそんなデタラメを！」夏川夢璃は激怒した。「あなた、頭がおかしいんじゃない！」

「こんな些細なことで、なぜ人を罵るんですか？同僚なんだから、許してくれてもいいじゃないですか」道乃漫は軽々しく言った。

葉月星はその罠に気付いたが、夏川夢璃は怒り狂って気付かなかった。「些細なこと？許す？何様のつもり！私は聖人じゃないわ。なんであなたを許さなきゃいけないの！」

「私と葉月星のことについて、さっきあなたもそう言ってたじゃないですか？」道乃漫は冷笑した。「でもあなたの言う通り、私も聖人じゃない。なぜ葉月星を許さなければならないんですか？」

夏川夢璃は一瞬固まり、ぎこちなく言った。「こ...これは違うわ。全然状況が違うのよ！」

道乃漫は他の人々が声を上げないものの、葉月星を解雇するのは少し行き過ぎだと思っているのを察した。

これは人の生活を、人の収入源を断つことだ。

ただ葉月星に非があったからこそ、彼らも何も言えないだけだ。

道乃漫はバッグからUSBメモリを取り出し、机の上に叩きつけた。「このUSBメモリ、葉月星さん、覚えてますよね！」

葉月星は顔色を変えた。「そ...それは...」