「みなさん、ありがとうございます」道乃漫は一人一人にお礼を言った。
高橋勉真は気さくで、賞を取れなかった落胆も全くなく、道乃漫が賞を取って自分が取れなかったことに妬みもなかった。「道乃漫、すごいじゃないか。広報部の面目を保ってくれたよ!」
「あなたもよ」道乃漫は心から言った。
夏川夢璃が入ってきた時、ちょうど皆が道乃漫を祝福しているところを聞いて、腹が立って仕方がなかった。
夏川夢璃は厚いファンデーションを塗っていたが、目の下のクマは隠しきれず、この数日間怒りで休めていないのが明らかだった。
道乃漫も彼女を感心せずにはいられなかった。週末を過ぎてもまだこんなに怒っているなんて、夏川夢璃の怒りは相当なものだ。
夏川夢璃は恨めしそうに道乃漫を見た。まるで自分が恥をかき、賞が取れなかったのは全て道乃漫のせいだとでも言うように。