道乃漫は慌てて携帯を押さえ、瑭子に聞かれないようにしながら、振り向くと神崎卓礼の清々しい笑顔に目を奪われ、思わず彼にキスしたくなった。
この男の容姿があまりにも完璧すぎる!
道乃漫は自制が効かなくなりそうで、急いで瑭子にさよならを告げた。
電話を切ると同時に、携帯は神崎卓礼に取り上げられた。
まるで芸術家のような美しい手、生まれながらにしてペンを握り、ピアノを弾き、絵を描くためにあるような手が、今は道乃漫の頬を包み、深く唇を重ねた。
彼は彼女の柔らかな唇に触れながらため息をつき、「君の選択を尊重すると決めたはずなのに、少し後悔している。こうなると、しばらく会えなくなるから」
道乃漫はそこで気づいた。神崎卓礼と付き合ってから、こんなに長く離れたことがなかったことに。