272 道乃漫のファンになります

「まさか!」道乃琪は顔色を変えた。「嘘でしょう!」

「なぜそんな嘘をつく必要があるの?スマホでネット検索してみれば、きっともう記事が出ているわよ」

道乃漫の確信に満ちた口ぶりに、道乃琪は半信半疑でスマホを取り出して確認すると、なんとTwitterのトレンド入りしていた。

トレンド記事には、道乃啓元と夏川清翔が道乃漫を不法監禁しようとして、警察署に連行されたと書かれていた。

コメント欄は罵声の嵐で、道乃啓元は人でなしだと罵り、夏川清翔は継母として道乃漫への愛情がないにしても、やり過ぎだと非難していた。

「私、道乃漫のファンになります。毎日このような奴らに嫌がらせされて陥れられても、今まで頑張ってきたなんて、本当に大変だったんですね」

「彼女、これから女優デビューするんですよね?芸能界入り?これって話題作りの一環なんじゃない?芸能界デビューの準備?」

「それがどうであれ、道乃啓元と夏川清翔が人でなしなのは確かです。これだけでも私は『貪狼作戦』を応援します。道乃漫には道乃琪を打ち負かしてほしい」

「あなた!」道乃琪は怒りで目が眩んだ。

なぜ彼女はそれに気付かなかったのか?

今朝、道乃啓元と夏川清翔は道乃漫を閉じ込めて来させないつもりだったのに、今道乃漫がここにいるということは、二人は失敗したに違いない。

「あれはあなたのお父さんよ!どうしてそんな冤罪を着せられるの?」道乃琪は痛心して非難した。

神崎卓礼は苛立たしげに高木武一に言った。「高木監督、撮影現場に誰でも入れるんですか?」

高木武一は意を汲んで、篠崎峰莱に目配せした。

篠崎峰莱はすぐに警備員を呼び、道乃琪を指さして、「関係者以外の者を外に出してください!」

警備員は急いで近寄り、両側から道乃琪の腕を掴んだ。

道乃琪は怒鳴った。「何するんですか?私は行きません!」

篠崎峰莱が前に出て、容赦なく言った。「撮影内容の漏洩を防ぐため、関係者以外の立ち入りは禁止です。早く出て行ってください」

警備員は黙って、道乃琪の叫び声も無視して、彼女を外に引っ張っていった。

道乃琪は元木に向かって叫んだ。「あなたも目が見えないの?早く彼らを止めてよ!」