266 突然食らわされた犬のエサ

「いいえ、いいえ」夏川清未は真崎景晟に迷惑をかけたくなくて、「そんなにお忙しい方に迷惑をかけるわけにはいきません。私一人で帰れますから」

「お母さん、彼は僕の親友だから、遠慮する必要はないよ」神崎卓礼が言った。

「はい」真崎景晟は笑顔で言った。「道乃漫さんと卓礼くんがいない時は、何かあったら私に連絡してください」

「ああ、ありがとうございます」

「じゃあ、行きましょうか」神崎卓礼は道乃漫の手を取った。

夏川清未は急かした。「そうね、早く行きなさい。遅れちゃいけないわ」

「うん、わかった。母さん、着いたら電話するよ」

道乃漫は神崎卓礼と一緒に出発し、真崎景晟は夏川清未を警察署へ供述録取に連れて行った。

「今から空港に行くの?」道乃漫は尋ねた。

「ああ」

「でも、調べてみたら今日の次のフライトは早くても午後2時なんだけど」道乃漫はスマホで確認したばかりだった。