高木武一が見ているのは、神崎卓礼の顔を立てているだけだ!
実力も運も、全て嘘だ。ただのコネだ!
夏川夢璃は顔を歪めた。これはあまりにも不公平だ!
いいことは全て道乃漫に与えられて、何故!
神崎卓礼は冷たく村上副社長を見つめた。「今、私の彼女に出て行けと言ったのか?」
村上副社長は土下座しそうになった。「い、いいえ、とんでもございません…」
「道乃漫があなたの彼女だと知っていたら、決してそんなことは言わなかったのです!」村上副社長は焦って、腸が青くなるほど後悔した。
神崎卓礼は冷たく言った。「私と関係のない人なら、そうしても良いというのか?いつから会社の各部門があなたの威張る場所になったんだ!」
村上副社長は大勢の前で面子を失うことも気にせず、「社長、私が間違っていました。考えが浅はかでした」
神崎卓礼は冷たく遠野弁護士を見た。遠野弁護士は言いたかった。村上舟翔も神崎創映の芸能人なのだから、神崎創映には村上舟翔を助ける責任があるのではないか?これは大したことではないはずだ。
以前、神崎創映はこのように森田林を支援したではないか?
しかし、森田林と村上舟翔を同じに扱えるのか?
森田林は人柄に問題がなく、道乃漫にも丁寧で、EQも高い。しかし村上舟翔は?
それに、森田林は森田会長の甥だ。村上舟翔は一体誰なのか。
神崎卓礼は重々しく言った。「広報部の社員が村上舟翔の案件を引き受けないと言ったのに、まだ無理強いするつもりか?」
遠野弁護士は憂鬱そうに黙り込み、先ほどの威張った様子は消え失せていた。
「村上舟翔の案件は、広報部は引き受けない。たとえ引き受けたとしても、私が取り消す」神崎卓礼は遠野弁護士を嫌そうに見て、「誰に威張っているんだ!」
「はい、はい…」先ほどまで威張り散らしていた遠野弁護士は、今や孫のように小さくなっていた。「で、では失礼いたします」
「待て!」神崎卓礼は逃げ出そうとする遠野弁護士を呼び止めた。
遠野弁護士は緊張で足がガクガクしながら振り返ると、神崎卓礼が言った。「村上舟翔は神崎創映の芸能人だな」
「はい」遠野弁護士は少し希望を持った。
神崎卓礼がそれを考慮して、村上舟翔を助けてくれることを期待した。