誰も喜べないだろう。
神崎卓礼が大股で事務所に入ってきた。村上副社長はまだ自分に危機が迫っていることを知らなかった。
一瞬の驚きの後、すぐに落ち着きを取り戻し、正々堂々と言った。「社長、広報部の社員たちの態度が本当に目に余ります。普段から会社が甘やかしすぎて、神崎創映の名を掲げて、調子に乗っているんです。仕事に対しても文句ばかり言って。上司の正当な要求に対しても、公然と反抗的な態度を取っています。このように上司を軽んじ、自分の本来の仕事さえもこなさないから、私は彼らを叱責したのです。」
河野社長はにこにこと村上副社長の演技を見ていたが、何も指摘しなかった。
続いて、村上副社長はさらに自分の首を絞めるように道乃漫を指差して、「特に彼女の行為が悪質です。顧客に対して全く敬意を示さず、彼女の行為は我が社の名誉を傷つけています。このような人材は絶対に残すべきではありません。だから私の判断で彼女を解雇し、他の社員たちにも教訓を与え、自分たちの立場を理解させようとしたのです。」
「話は終わりか?」神崎卓礼は冷たく言った。
村上副社長はぎくりとして、神崎卓礼の表情がおかしいことに気付いた。なぜ顔色がどんどん悪くなっているように見えるのだろう?
副社長の座に就いている村上副社長も、ただの飾りものではなく、特に人の顔色を読むことには長けていた。
神崎卓礼のこの表情を見て、彼は先ほど何か言い間違えたことがなかったか思い返し始めた。
しかし考えに考えても、気付かなかった。
自分は何も間違ったことを言っていないはずだ!
「武田部長、君たちの広報部はこれまでどのように案件を受けてきたのか説明してくれ」神崎卓礼は言った。
今でも武田立则は、神崎卓礼と道乃漫が付き合っているという事実に慣れていなかった。
神崎卓礼の質問を聞いて、すぐに気持ちを切り替えて答えた。「案件が多すぎて、すべてを引き受けることはできません。そうすれば本当に処理しきれなくなってしまいます。中には広報活動が実質的に不可能なものもあり、たとえ引き受けても効果が期待できないものは、お断りしています。小さな広報会社なら、そんなことは気にせずに引き受けて、効果が出なければ追加の費用を要求するでしょう。お金さえもらえればいいという考えですが、私たちはそういうやり方はできません。」