広報部は受けなかった案件がたくさんあるのに、すべての案件を受けなければならないのでしょうか?
すべての案件に対応できるわけではありません。
柳田姉は道乃漫を心配そうに見つめ、そっと近づいて彼女の袖を引っ張り、村上社長に謝罪の言葉を言うよう促しました。
こんな些細なことで解雇されるのは、あまりにもったいないことです。
道乃漫が将来演技を学ぶために退職するとしても、自ら退職することと解雇されることは、まったく別物です。
しかし、道乃漫が険しい表情を浮かべているのを見ると、すでに頑固な性格が出てきて、謝罪の言葉を言おうとしませんでした。
柳田姉は考えました。道乃漫が入社してから今まで、嫌がらせを受けたのは一度や二度ではありませんでしたが、彼女が怯んだところを見たことはありませんでした。
仕方なく、柳田姉は橘兄を見ました。
橘兄は渋々口を開きました。「村上社長……」
「彼女のために頼むつもりか?」村上社長は自分の権威に対する挑戦を許さず、「彼女のために頼む者は、彼女と一緒に出て行け!」
村上社長はオフィスのドアを指さしました。
橘兄は村上社長にそのように叱責され、怒りで顔を真っ赤にしました。
他の人々も憤慨していました。これはあまりにも人をいじめすぎです!
「他に不満がある者も出て行け!」村上社長は怒鳴りました。
しばらく待って、誰も話さないのを見て、「誰も発言しないということは、みんな異議がないということですね!」
全員が顔を真っ赤にして、怒りを抑えていましたが、誰も声を出しませんでした。
「よろしい」村上社長は満足げに得意な笑みを浮かべました。「では、村上舟翔の案件を誰が担当するのか?先ほども言ったように、引き受けない者は出て行け!」
皆がお互いを見合わせました。
橘兄がためらいながら、口を開こうとした時。
入り口から怒りを含んだ冷たい声が聞こえました。「随分と大きな口を叩くものだ」
全員が驚き、村上社長は急に固まり、振り返ると、神崎卓礼が入り口に立っており、その後ろには藤井天晴と神崎創映の本当の社長である河野社長が続いていました。
神崎卓礼はまず道乃漫を見ました。この時、全員の注目が神崎卓礼に集中していて、藤井天晴と河野社長以外は、道乃漫が神崎卓礼に微笑みかけ、村上社長など全く気にしていないという様子を見ていませんでした。