そうでなければ、副社長なのに、村上社長と呼ばれることもなかっただろう。
「待ちなさい!」村上社長は怒鳴った。「道乃、最後のチャンスをやる。引き受けるのか?引き受けないなら、即刻退社してもらう!」
「村上社長!」武田立则は顔色を変えた。「道乃はそういう意味ではありません」
夏川夢璃がこの時、口を開いた。「道乃、会社はあなたの家じゃないわ。好き勝手にはできないのよ。分かってるわ、演技の勉強を始めるから、どうせ辞めるつもりだから、上司を軽く見てるんでしょう」
村上社長の顔にはさらなる怒りが浮かんだ。そんなことまであったとは。
道乃の図々しさもこれで納得だ!
「でも、会社にいる限り、あなたは一般社員よ。上司の指示に従わなければならないの!」夏川夢璃は声を張り上げ、断固とした口調で言った。