323 意地悪な嫌がらせ

自分の立場もわきまえず、彼に対して態度を取るなんて。ちっぽけな賞を取っただけで、偉くなったつもりか?

誰にでも逆らえるわけじゃないということを、思い知らせてやる。

広報部にいるからって、もう彼との接点がないと思って、彼を軽視しているのか!

「よし、それじゃあ道乃漫に任せましょう」と村上社長が言った。「道乃漫、遠野のために複数のプランを用意して、彼が満足するまで提案してください。村上舟翔の件は、あなたに任せます」

村上社長は遠野弁護士に向かって尋ねた。「プランはいつまでに必要ですか?」

遠野弁護士は意地悪そうに片方の口角を上げて、「明日までです」

その場にいた村上社長と夏川夢璃以外の全員が、遠野弁護士が意図的に難題を突きつけていると感じた。

広報危機対応プランがおままごとだとでも思っているのか、簡単に何個も出せると?それともネットで適当に探せばいいと思っているのか?

このケースが簡単だとしても、一晩で道乃漫にプランを作らせるのは、明らかな嫌がらせだ。

武田立则は眉をひそめて、「村上社長、これは無理がありすぎます。一晩で複数の良いプランが作れるなら、以前の森田林の件で、私たちがあんなに苦労して適切な方法を見つけられなかったはずがありません」

「そうですよ!」と柳田姉が続けた。「それに、そんな簡単に考えついたプランなんて、使えるわけがありません。完璧じゃないはずです」

村上社長は遠野弁護士を見た。遠野弁護士が軽くうなずくと、村上社長は「じゃあ一つでいい!」と言った。

「一つも無理です」と道乃漫は冷たく言い放った。

「何?一晩じゃ足りないというの?」遠野弁護士は冷笑した。「それじゃあ、あなたはとても非プロフェッショナルですね。危機管理広報の担当者として、クライアントに問題が発生した時、世論があなたたちに十分な時間をくれると思いますか?素人だと思って馬鹿にしているの?多くの広報担当者は徹夜してプランを考え出して解決しているんですよ。なぜあなたにはできないの?所詮その程度ということですね」

高橋勉真は怒りで唇を固く結んだ。プロフェッショナルな彼らに効率性を語るなんて、笑止千万だ!

本当に分かっていないのか?