319 休みには映画館に応援に来てね

「わ……分かりました。」少女は頷き、少し元気を取り戻したようだった。「お姉さんはどんなお仕事をしているんですか?」

「PRの仕事をしているわ。PRにはいろいろな種類があって、企業向けのものもあれば、芸能界向けのものもあるの。私は芸能界向けのPRを担当しているわ。芸能人のスキャンダルや、イメージ作りなどを任されているの」と道乃漫は簡単に説明した。

「私も将来PRの仕事がしたいです」少女は頷いた。「今年、大学受験なんです。第一志望は日本メディア芸術大学のPR学科です。将来、優秀なPR担当者になりたいんです。私の推しのために危機管理をする必要がないことを願っています。推しが危機に陥ることがないように。でも、もっと多くの人に好かれるようにサポートはしたいんです」

「いい考えね」道乃漫は微笑んだ。「でも、あなたのファン活動の熱心さを見ると、かなり授業をサボっているんじゃない?日本メディア芸術大学に合格したいなら、しっかり勉強しないとね」

少女は顔を真っ赤にして、「分かっています」と言った。

「お姉さん、お名前は?」少女が尋ねた。

「道乃漫よ」道乃漫は微笑みながら答えた。

柳田姉がすかさず付け加えた。「彼女はPRだけじゃないのよ。高木武一監督の新作映画『貪狼作戦』にも出演しているのよ。休みの時は映画館に観に行って応援してね」

少女は嬉しそうに何度も頷いた。「お姉さん、すごいですね!絶対に観に行きます!」

「さあ、学校に戻りなさい。帰り道は気をつけてね」道乃漫は促した。

「はい」少女は頷き、医者から渡された軟膏を受け取った。

「これ、いくらですか?」少女が尋ねた。

医者は手を振って、「いいよ、プレゼントだ」と言った。

「ありがとうございます」少女は言った。

村上舟翔の影響から離れると、少女はとても礼儀正しかった。

「じゃあ、行きます」ドアのところまで来た少女が突然振り返った。「そうだ、私の名前は篠崎寧娴です。お姉さん、おばさん、さっきは……失礼な態度を取ってしまって、申し訳ありませんでした」

「気にしないで、気にしないで」少女が正気に戻ったのを見て、柳田姉は何よりも嬉しく、先ほどの不愉快な出来事なんて気にもしていなかった。

篠崎寧娴を会社の外まで見送った後、道乃漫と柳田姉はオフィスに戻った。