332 封殺

「素人なのに、演技なんかできるわけないでしょう？」

「なぜこんな人が高木武一監督の映画に出演しているの？」

「何か裏があるんじゃないの？」

「彼女、バックがあって資金提供して出演権を買ったんじゃない？」

「高木武一も人選する時はバックグラウンドを重視するんだね」

「こんなに素人っぽいなら、見る気が失せるわ」

疑問の声が増えていく中、その多くは白泽霜乃が雇ったサクラたちが道乃漫の演技を批判するものだった。

これらのサクラの存在を、高木武一が知らないはずがない。

怒った彼は会社でコップを叩きつけた。「あの白泽霜乃はバカなのか？この時期に道乃漫を叩いて、ネットユーザーに映画の質が悪いと思わせて、興行収入に影響を与えて、彼女に何の得があるんだ！このバカ女、今後俺の映画には二度と出させない」

怒りを爆発させた後も気が収まらず、高木武一は他の監督仲間に電話をかけた。「橘、話があるんだ。白泽霜乃って奴さ、今後お前が映画撮る時は使うなよ。資金提供があっても使うな。このバカ女、持ち込んだ資金より興行収入の損失の方が大きいんだ」

「どういうことだ？」

「ネットで我々の作品の俳優、道乃漫を批判してる件、知ってるだろ」

「ああ、白泽霜乃の仕業か？」

「そうだ。道乃漫は俺が直接選んだんだ。実力で選ばれたんだ。白泽霜乃は前に俺と道乃漫にスキャンダルがあるって噂を流そうとしたが、道乃漫が誰かに頼んで押さえ込んだ。道乃漫は神崎卓礼の彼女なんだぞ、監督とスキャンダルなんて必要あるか？もちろん、道乃漫を選んだ時は彼女が神崎卓礼の恋人だとは知らなかった。白泽霜乃こそが金で役を買った奴なのに、よく道乃漫を批判できるな。自分の嫉妬のために全体のことを考えない、こんな奴は要らない」

道乃漫が白泽霜乃に仕返しをする時も、事前に相談してきて、興行収入への影響を心配していた。

それを見て高木武一は非常に満足した。道乃漫がこれほど分別があるとは思わなかった。

一方の白泽霜乃を見ると、高木武一は本当に腹が立った。

「分かった、兄貴、今後気をつけるよ」と橘監督は言った。

「他の友達にも言っておいてくれ」と高木武一は怒りを抑えきれずに言った。

橘監督は驚いて「これは完全に干そうってことか？」