331 その差が大きすぎる

「道乃さん、少しお話しできますか?」と村上副社長が小声で言った。

藤井天晴が近づいてきて、道乃漫が頷くと、藤井は「こちらへどうぞ」と言った。

三人は応接室へ向かい、入室するなり村上副社長は急いで言った。「道乃さん、今日は私が無知で失礼いたしました。どうか大目に見ていただけませんでしょうか。」

「あなたはまだ自分の問題点が分かっていないようですね」と道乃漫は冷たく言った。「もし私が社長の恋人でなかったら、外部の人間、たかが芸能マネージャーの一言で私を解雇できたということですか?広報部で好き勝手に威張り散らしていいということですか?会社の利益を無視して、社員を自分の思い通りに使っていいということですか?」

村上副社長は内心歯ぎしりするほど腹が立ったが、それでも額から大粒の冷や汗が流れ落ちた。