344 最近忙しいから、私を探さないで

ネット上の動画では、道乃漫の顔がそれほど鮮明ではなかったのだ。

道乃漫の現在の職業を知ったネットユーザーは、「ははははは!村上舟翔のファンは今回痛い目に遭ったね。道乃漫自身が業界トップクラスのPRプロなのに、彼女に喧嘩を売るなんて?道乃漫には何もできなかったどころか、自分たちが恥をかいただけ。腰に手を当てて大笑いさせてもらうわ!」

「この手の込んだやり方すごいね。村上舟翔のファンは昼間に道乃漫を中傷したばかりなのに、夜には状況が逆転。これって道乃漫の仕業じゃない?」

「そう見えるね。彼女は演技は素人かもしれないけど、この分野ではプロだよ。彼女に勝とうと思ったら、同じくらいのプロチームを雇わないとね」

「プロのチームでも道乃漫には勝てないでしょう。だってプロチームの中で、ゴールデンフィンガー賞を取った人なんて何人いるの?」

「聞いた話だけど、森田林が長い沈黙の後に突然ブレイクしたのも、道乃漫がプロデュースしたからだって」

「すごいね。道乃漫が芸能界に進出したら、誰が彼女の相手になれるの?この戦闘力は半端ないわ」

「まさに雲を翻し、雨を覆すような手腕ね!もう普通のファンから本気のファンになっちゃう。強い女性だわ」

道乃漫は神崎卓礼と夕食を済ませたところで、自分のTwitterのフォロワー数が急上昇していることに気付いた。

以前はわずか数百人だったのが、今や10万人を突破している。

多くの芸能人から見れば、たいしたことのない数字かもしれない。

しかし道乃漫はまだ正式に芸能界に入っておらず、『貪狼作戦』もまだ公開されていないのに、これだけのファンがついているというのは、かなりの成果だった。

道乃漫は篠崎寧娴を攻撃から救い出せて、気分が良かった。

しかし、この時村上舟翔の気分は最悪だった。

道乃漫を中傷しようとしたのに、失敗どころか、自分の人気まで大きく下落してしまった。

村上舟翔は家の中を行ったり来たりと苛立っていると、遠野弁護士が冷たい声で言った。「自業自得だ!道乃漫に関わるなと言っただろう!今や彼女が動いたんだ。神崎卓礼が知らないと思うのか?お前がファンを扇動したのは、誰が見ても分かる。みんなをバカにしているのか!」

「じゃあ、さっきなぜ言わなかったんだ?今更言っても意味ないだろう!」村上舟翔は怒鳴った。