345 義理なし

柳田社長は冷たく電話を切り、村上舟翔は呆然としていた。

本当に自分は終わってしまったのだろうか?

村上舟翔は髪をかきむしり、テーブルの下の小型冷蔵庫のドアを開け、中から缶のカクテルを取り出し、さらに中の隠し引き出しを開けると、そこには覚せい剤が入っていた。

彼は覚せい剤をカクテルに入れ、一気に大きく飲み干した。

麻薬が神経を刺激し、夢のような幻覚をもたらし、彼の全身がふわふわと浮かんでいるような感覚になった。

しかし、村上舟翔は既に帰ったはずの遠野弁護士が戻ってくるとは思いもよらなかった。

遠野弁護士は途中で村上舟翔のアシスタントに会い、自分の忘れ物を思い出し、アシスタントと一緒に戻ってきたのだ。

アシスタントは村上舟翔の家の鍵を持っていたため、ノックもせずに入れた。

アシスタントが鍵を使って開け、遠野弁護士と一緒に中に入った。

すると、二人は村上舟翔の異常な様子を目にした。

普通に酔っ払っている時の様子とは全く違っていた。

しかも、村上舟翔が手にしていたのはアルコール度数の低い缶カクテル一本だけで、酔うはずがなかった。

遠野弁護士は眉をひそめ、テーブルの上の覚せい剤を見て表情が変わり、近寄って確認すると、急にアシスタントの方を振り向いた。

アシスタントも呆然として、「遠野兄、これは...」

「早く出よう!」遠野弁護士はアシスタントを引っ張って外に出た。「彼に巻き込まれたくない!」

アシスタントがまだ呆然としている中、遠野弁護士は良心があったのか、アシスタントを引っ張って出て行った。

外に出てから、アシスタントは動揺を隠せず、青ざめた顔で尋ねた。「遠野兄、村上さんは...覚せい...」

遠野弁護士はアシスタントの言葉を遮り、顔を曇らせた。「まさか、あいつがそこまで大胆だとは思わなかった!」

以前、観光客に薬物使用疑惑の写真を撮られたが、写真が不鮮明だったため、ごまかすことができた。

個人的に、村上舟翔は彼に好奇心から人に誘われて大麻を少し吸っただけで、実際には一度も薬物に手を出したことはないと言っていた。

遠野弁護士はその言葉を信じていた。

まさか、彼が密かに覚せい剤を隠し持っていたとは。

「遠野兄、私たちはどうすればいいんですか?」アシスタントは慌てていた。