346 テンションMAX

助手は少し黙っていた後、「分かりました。遠野兄について行きます」と言った。

遠野弁護士は満足げに微笑み、助手を車に乗せたが、すぐには発車しなかった。

警察が来るのを確認しないといけないからだ。

遠野弁護士は知らなかったが、大熊はすでに道乃漫の指示通り、仲間と共に壁の角で待ち伏せていた。

偶然にも、先ほどの遠野弁護士と助手の会話は、すべて大熊たちの耳に入っていた。

皆は顔を見合わせ、道乃漫の言った通りになるとは思わなかった。

すごすぎる!

「急げ、急げ!みんな準備はいいか!警察が来たら、すぐに撮影開始だ!」大熊は聞こえないように小声で指示を出した。

他のメンバーも血が騒ぐように、腰の痛みも、足の疲れも、眠気も一気に吹き飛んだ。

村上舟翔の知名度は高くないかもしれないが、薬物使用という大事件と組み合わせれば、十分な価値がある記事になるはずだ!

今夜のうちに配信すれば、この数日間のトップニュースは村上舟翔で持ちきりになるだろう。

***

村上舟翔は自宅で放蕩な生活を送っていた。床に座り込み、ソファに背中をもたせかけ、頭をクッションに預け、まるで夢幻の中にいるかのように、手には煙草を挟んでいた。

白い煙を吐き出すと、目を細め、この上ない快感に浸っていた。

これは現実から逃避できる良い方法だった。麻薬による幻覚の中で、一時的に現実のすべての悩みを忘れることができた。

「ピンポン!ピンポン!ピンポン!」ドアベルが鳴り響いた。

村上舟翔は幻覚の中にいて、聞こえても聞こえないふりをし、立ち上がろうとしなかった。

「ドンドン!ドンドン!ドンドン!」警察が力強くドアを叩き始めた。「開けろ!」

村上舟翔は酒を一口飲み、相手にする気はなかった。

しかしドアベルとノックの音が鳴り止まず、向かいの住人も起こしてしまった。

向かいのおじいさんが恐る恐るドアから顔を覗かせ、おばあさんもその後ろに続いた。

二人が向かいに立っている警察官の一団を見て、すぐに驚いた。

「ど、どうしたんですか?警察の方、何か大変なことでも?」隣のおじいさんは驚いて尋ね、目には好奇心の光が宿っていた。

「この家の人は在宅していますか?」警察官が尋ねた。