347 協力は可能

村上舟翔はぼんやりとして何が起こっているのかわからず、カメラに向かって正面を向いたまま、幻想的な表情を浮かべていた。

「撮影はやめろ!」警察が叫び、村上舟翔の顔を遮りながら同僚に言った。「早く行くぞ!」

大熊はしつこく尋ねた。「警察さん、彼はどうしたんですか?麻薬ですか?」

警察は答えず、大熊は村上舟翔が車に押し込まれるまで撮影を続けた。

「撮影終了!」大熊は大きく手を振り、仲間たちと車に戻り、それぞれ帰る準備を始めた。

「熊兄、今日は本当にラッキーでしたね!一、二週間は張り込まなきゃならないと思ってたのに、初日で結果が出るなんて!」

大熊も嬉しそうだった。「そうだな、こんなにうまくいくとは思わなかった。」

大熊は急いで道乃漫に電話をかけた。「道乃さん、全部撮れました。次はどうしましょう?」

「こんなに早く?」道乃漫も予想外の展開に驚いた。「じゃあ、こうしましょう。今夜まず、某イケメン俳優が麻薬で逮捕されたという情報だけリークして。誰かは言わずに、シルエットだけ出して、頭文字のYだけ示唆して、人々に推測させましょう。まずは話題性を作り出して。芸能界でYから始まるイケメン俳優は少ないし、村上舟翔には前科があるから、彼を疑う人は多いはず。明日の結果発表を予告して。そして明日、話題が最高潮に達したところで、村上舟翔の名前を出す。」

「はい、はい、わかりました。」大熊は右手で携帯を持ちながら、左手を膝の上で興奮気味にこすった。「道乃さん、これからも一緒に仕事しませんか?」

道乃漫は大熊の提案に一瞬戸惑った。「えっ?」

「瑭子がもうやめるって言うんで、今後何か情報があって、瑭子に頼めない時は、私に声をかけてください!話題作りは全部道乃さんの言う通りにします。」道乃漫と組めば、すぐに事務所を出て自分のチームを作れると確信していた。「道乃さん、あなたの実力は本当にすごいです。あなたと組めば、私は芸能界一のパパラッチになれると思います。」

道乃漫:「……」

「そんなに褒めないでください。そんなに大したことないです。」道乃漫は、大熊に自分を正しく理解してもらう必要があると感じた。過大評価されるのは良くない。「でも、確かに協力はできますね。今後何か情報があれば、必ず最初にあなたに連絡します。」