ただ、彼らはずっと神崎創映が道乃漫のような新人と契約するはずがないと思い込んでいた。
そのため、道乃漫と神崎創映の関係を忘れていた。元々神崎創映の社員だったため、神崎創映が彼女に特別な配慮をして直接契約する可能性があったのだ。
「じゃあ、映画の損失は誰の責任なんだ?」周村社長が尋ねた。責任を追及しなければならないだろう!
「もちろん白泽霜乃の責任です!」河野社長が言った。「彼女のシーンをカットしたからって何だというんです?彼女のシーンをカットせずに、我が神崎創映の芸能人のシーンをカットするべきだとでも?些細なことで、Twitterで批判して、全体のことを考えていない。ただシーンをカットされただけじゃないですか?高木監督は彼女の撮影参加を認めたんじゃないですか?演技のチャンスも与えたんじゃないですか?演技力が足りなくてシーンがカットされたのに、それが高木監督の責任だとでも?」
高倉社長:「???」
そうじゃないのか?
どうしてシーンがカットされたことが、逆に白泽霜乃の責任になったんだ?
「彼女は撮影に参加して、ギャラも支払われたでしょう?未払いはないはずです。映画の宣伝でも露出の機会を与えられました。これは恩恵を受けているんですよ!お金ももらって、露出もあった。本来なら彼女にはシーンがないのだから、露出を与えるべきではなかったのに、映画のおかげで恩恵を受けているのに、まだ文句を言うなんて、これはどういうことですか?」
高倉社長ら四人:「……」
理屈は通っているように聞こえるが、どこか違和感がある。
「本当に許せない!」篠崎峰莱が感情を込めて同調した。
高倉社長ら四人:「……」
「だったら白泽霜乃の責任を追及すればいい、道乃漫に何の用があるんだ!」河野社長が最後に言った。
道乃漫は河野社長を見つめた。河野社長はそれを見て、すぐに背筋を伸ばし、道乃漫に期待の笑みを向けた。
社長夫人が自分の対応を良く思ってくれたら、ぜひ社長に言ってほしいものだ!
道乃漫:「……」
「私は最初から『貪狼作戦』の興行収入は影響を受けないと言っていました。初日の興行収入が出てから議論しましょう」道乃漫は冷静に言った。
「ふん!もし影響があったらどうするんだ?」高倉社長が詰問した。