424 もしもはない

神崎卓礼は言った。彼女が学校に入っても辞職する必要はなく、神崎創映は彼女のポジションをずっと確保しておくと。たとえ彼女が正式に撮影を始めて、両立する時間があまりなくても、広報部の特別顧問という役職を与えることができると。

その時は、確かに毎月基本給は支払われないだろうが、彼女が案件を引き受ける気があれば、引き受けた案件に応じて個別に収入を計算するという。

これは道乃漫と神崎卓礼の強い要望の結果だった。そうでなければ神崎卓礼の意向では、道乃漫のポジションを確保しておいて、彼女は何もしなくても毎月給料が支払われるというものだった。

道乃漫は神崎創映の社長夫人として、少しの特権も持てないのだろうか?

神崎創映は神崎卓礼のものであり、神崎卓礼のものは道乃漫のものだ。だから神崎創映は道乃漫のものであり、何の問題もない。

しかし道乃漫はそうしたくなかった。会社の他の人たちが知れば不満を持つだろう。表立って言わなくても、陰で噂することは避けられない。

道乃漫は神崎卓礼がそのように非難されることを望まなかった。彼はやはり神崎創映の社長であり、皆の信頼を得なければならない。

学校に通っている間は収入がなく、時々案件を受けて副収入を得るだけで、彼女にとっては十分だった。

約半月ほど経ち、もうすぐ入学の時期が来ていた。

柳田姉たちは道乃漫が彼女のデスクの上のものを片付けるのを見て、彼女がおそらくこれからは仕事に戻ってこないだろうと知り、少し名残惜しく思った。

「また会いに来るわ」と道乃漫は笑いながら言った。「休みに他の予定がなければ、厚かましくも仕事に戻ってくるかもしれないから、その時は嫌がらないでね」

「絶対に嫌がるわけないじゃない!」と柳田姉たちは急いで言った。

橘兄は笑いながら言った。「本当は送別会を開こうと思ったんだけど、それもどうかと思って。君は辞職したわけじゃないし、ずっと戻ってこないわけでもない。私たちは君をまだ広報部の一員だと思っているし、また戻ってきて働くと思っているよ」

柳田姉は心の中で辛く感じ、顔にも名残惜しさが表れていた。彼女は橘兄を笑いながら叱った。「何を言ってるの!道乃漫が有名にならなければ戻ってくるってこと?もちろん彼女には有名になって、戻ってくる時間がないくらいになってほしいわ!」