430 投資全部終了

神崎卓礼が彼を中傷するなんて、むしろ彼の面目を立ててやっているようなものだ。

ビジネスの世界では駆け引きがあるものだが、互いに駆け引きをするというのは、同じレベルにいるということではないか？

柳田主任はそもそもそんな立場にすらない。

神崎卓礼が手間をかけて彼を中傷するなんて、なんて面の広いことか！

「神崎若様？」これは柳田主任が校長の口から二度目に聞いた呼び名だった。彼は眉をひそめ、すぐに冷ややかに嘲笑した。「どこの金持ちの息子だ？校長、あなたのそのへつらう顔は、本当に我が校の恥だ！」

橘校長は怒りで柳田主任を指差した。この男は本当にますます礼儀知らずになっていた！

「金持ちの息子？金持ちの息子だって？」橘校長は柳田主任に怒りで脳充血を起こしそうだった。「我が校の毎年最大の寄付は、神崎社長からのものだ。学校の図書館、実験棟、大劇場、すべて神崎社長が投資して建設したものだ！」

ここまで言われて、柳田主任はようやく神崎卓礼が誰なのか理解した。

当時、大劇場が完成した時は、全国を震撼させたものだった。

なぜなら、自前の大劇場を持つ大学は一つもなかったからだ。

この一点だけでも、演劇学院は映画芸術学院を数段引き離していた！

演劇学院と映画芸術学院は常にライバル関係にあり、互いに相手を見下し、認めようとしなかった。

映画芸術学院は演劇学院出身のスターが少ないことを見下し、演劇学院は映画芸術学院出身者の演技力の低さを見下していた。

そして大劇場が完成したその年、国立演劇大学への志願者数は、映画芸術学院を完全に圧倒した。

両校とも志願者に困ることはなく、毎年の定員はそれほど多くないが、志願に来た人の山を見るのは気分がいいものではないか？

橘校長はまだ足りないとばかりに続けた。「我が校の学生が毎年制作現場に送り込まれる枠があるのも、神崎社長のおかげだ！大小問わず、神崎創映は常に我が校の学生を引き立ててくれる。外では演劇学院の学生は出演作に困らないと言われているが、それも神崎創映のおかげだ！」

「今あなたは、神崎社長があなたのような小物を中傷したと？彼を金持ちの息子だと？彼のような金持ちの息子を一人でも見つけてみろ！」橘校長は激怒していた。