436 お前は終わりだ

歩きながら、柳澤校長は我慢できない好奇心から、探りを入れた。「道乃漫さん、あなたと神崎若様は——」

「探る必要はありませんよ。彼は兄の彼女です」神崎卓風は口を尖らせた。「もちろん、いつ別れるかわかりませんけどね」

柳澤校長は「ふふ」と笑った。彼は賢いから、神崎卓礼と道乃漫が真剣に交際していることはとっくに見抜いていた。

将来結婚するかどうかは誰にも断言できないが、今の二人は遊びではない。

神崎卓風は口では道乃漫を嫌っているようなことを言うが、こうしてきちんと面倒を見ているではないか?

柳澤校長は橘校長の教訓を活かし、道乃漫に関することは決して部下に任せないと決めていた。

道乃漫と神崎卓礼の関係を直接言うわけにはいかない。もし柳田主任のような愚かな人間に当たったら、今度は橘校長と顔を合わせて一緒に髪を引っ張り合うことになるだろう。