神崎卓風:「……」
神崎卓風は胸を張って頭を上げ、「僕は全然怖くないよ」と言いながらも、臆病そうに手を引っ込めた。
道乃漫は笑いをこらえながら、口元を引き締め、視線を戻し、申し訳なさそうに神崎卓礼に言った:「すみません、全部手続きが済んだのに、私が急に気が変わってしまって。」
「今日こんなことがあったから、あなたがここに残っても私は心配です。それに、私が先に神崎創映の演劇学院への投資をすべて引き上げたので、あなたがここに残っても居心地が悪いでしょう。」
道乃漫もそのことを考えていた。映画芸術学院には道乃琪と加藤正柏がいるとはいえ、我慢するしかなかった。
神崎卓礼はすぐに人を遣わして道乃漫と神崎卓風の転校手続きをさせた。
そして、道乃漫はさらに一週間家で過ごした。
一週間後の月曜日、道乃漫は正式に映画芸術学院に入学した。
道乃漫を迎えに来た車に乗ると、神崎卓風もいるのが見えた。
神崎卓礼は顔を曇らせて説明した。「この小僧、今朝早くに運転手に俺の家まで送らせて、どうせお前を学校に送るんだから、ついでに乗せていけと言ったんだ。」
道乃漫:「……」
ふん、このブラコン変態。
神崎卓風は自分の車も運転手もいるのに、直接学校に行けるはずなのに、わざわざ神崎卓礼の家に行って、回り道して彼女の家に来るなんて。
映画芸術学院に着いて、車から降りる前に、神崎卓礼はサングラスとマスクを取り出した。
映画芸術学院には若くして有名になった学生が多く、演劇学院とは違う。
神崎卓礼が現れれば、すぐに認識されてしまうだろう。
神崎卓礼が唇と目を隠す姿は、本当にスター然としていた。
「ハッ!」神崎卓風は笑った。「兄さん、そんな格好じゃ芸能人よりも芸能人らしいよ。」
神崎卓礼は背が高く脚が長く、全身から漂う雰囲気は芸能人とは比べものにならない。
まさに神崎卓風が言うように、芸能人よりも芸能人らしいじゃないか?
今回は演劇学院での教訓を活かし、神崎卓礼は直接道乃漫を校長室に連れて行った。
柳澤校長と橘校長は長年のライバルで、両校の競争は激しく、二人の校長もいつでもどこでも張り合っていた。
彼も国立演劇大学の柳田主任が道乃漫を怒らせてしまったことを聞いていた。そのせいで演劇学院は生きた財神を失ってしまったのだ。