438 話し上手

「いいよ。」結局は同級生だし、これからの三年半、ずっと一緒にいるのだから、自分が浮いた存在になるわけにはいかない。

水野先生もそう思っていたが、それでも道乃漫に助け舟を出し、生徒たちに言った。「皆さんが質問したいことがたくさんあるのはわかります。でも、これは授業中です。こうしましょう。質問時間を10分間設けます。質問の数に関わらず、10分後には正式に授業を始めます。」

そこで、道乃漫は言った。「確かに偶然の巡り合わせで、私の運が良かったんです。私はもともと神崎創映の広報部で働いていました。」

ここまで言うと、多くの学生が頷いていた。

彼らは知っていたのだ。

道乃漫の広報能力は本当にすごいじゃないか?

村上舟翔、白泽霜乃、この二人は今や芸能界から姿を消している。

「『貪狼作戦』で私が演じた役は、元々別の俳優が演じる予定でしたが、その方がケガで入院し、撮影を続けられなくなったんです。それで高木監督が神崎創映にキャスティングに来て、私は同僚に引っ張られて見学に行きました。その役はちょうど武術の基礎が必要で、アクション監督がいくつか難易度の高い動きを設計していて、武術の基礎がない人には無理だったんです。たまたま私は武術を習っていて、さらに時間が限られていたこともあり、条件に合う俳優は予定が合わず、予定が合う人は適していなかったので、私がその役を拾うことになったんです。」