「はい、ありがとう」道乃漫は心から感謝した。
藤井纱媛が示した好意を、彼女は大切にしていた。
「次の授業は実技演習だから、ダンススタジオに行かなきゃ」藤井纱媛が教えてくれた。
教室の反対側の席では、別の女子学生が数人に囲まれて話していた。
庄田美玲は道乃漫の方をちらりと見て、軽蔑したように冷笑した。「映画に出ただけじゃない?小さな脇役だけなのに、あの人たちの取り入り方を見てよ」
「そうよね、運良く映画に出られただけで、スタートが高く見えるけど、これから先も仕事があるかどうかは分からないわ!デビュー作が有名監督の映画だった人はたくさんいるけど、それっきりで、その後は波紋も起こせなかったわ」村上静纤は無関心そうに口をとがらせた。
「そうそう、影乃みたいに幼い頃から演技をして育ち、ずっと美しく成長して、常に仕事に恵まれ、常に出演作があるわけじゃないもの。あの人たちが道乃漫に近づいても、何の意味があるのかしら!」庄田美玲は道乃漫を貶めながら、橘影乃にも取り入った。
「影乃、あなたが大きなIPの主役、それも女性主人公の役を獲得したって聞いたわ」と村上静纤が尋ねた。
橘影乃は口元に笑みを浮かべ、顔に浮かぶ喜びを隠しきれなかった。「そうよ、高校生の時はそういう役はできなかったの。演技の幅に制限があって、未成年が恋愛シーンをするとすぐに批判されるから。プロデューサーたちはずっと私が大学に入るのを待っていたのよ。映画芸術学院に合格したばかりなのに、もう何本もの脚本が送られてきたわ。いろいろ選んだ末に、この作品を選んだの」
「本当にうらやましいわ、そんなにたくさんの良い仕事があって。私たち他の一年生はまだ基礎演技を学んでいるのに、あなたはもう次から次へと撮影してるなんて」村上静纤は羨望の眼差しで言った。
庄田美玲は橘影乃の袖を引っ張りながら取り入るように言った。「影乃、あなたが出るドラマに、何か脇役の枠はない?私を紹介してくれない?大した役じゃなくてもいいの、ただ現場を体験してみたいだけ」
スター志望で入学し、今は撮影の雰囲気を味わってみたいだけだった。