「ただいま。」夏川清未は彼らが入ってくる音に気づかず、振り向いて一瞬驚いた後、道乃漫の変化に気づいた。
道乃漫の顔に漂う色気は、隠しようがなかった。
夏川清未は経験者だから、当然わかる。
昨日、道乃漫が神崎卓礼のところに彼の世話をするために残ったことは、夏川清未も知っていたし、それについても心の準備はできていた。
神崎卓礼があんなに道乃漫にくっつきたがっている様子で、道乃漫が自分から彼の巣穴に入っていったのだから、彼が手を出さないわけがない。
夏川清未はそれを心の中でわかっていたが、口には出さなかった。
道乃漫は大人になった。自分でわかっているはずだ。
道乃漫が嫌がれば、神崎卓礼の道乃漫への溺愛ぶりからして、彼女を無理強いすることはないだろう。
これは間違いなく道乃漫自身が望んだことだ。