2時間以上の映画なのに、テンポがとても速く、クライマックスが次々と続き、全編通してトイレに行きたくなる瞬間が一度もなかった。
道乃漫と神崎卓礼は後ろから2列目に座っていて、道乃漫は特に気にしていたが、全編を通して誰一人トイレに行く人がいなかった。
途中で誰かが「あとどのくらいで終わる?」と尋ねるのが聞こえた。
「30分くらいかな、どうしたの?」
「トイレに行きたいんだけど、我慢するよ。見終わってから行くよ。」
「我慢して体を壊さないでね。」
「大丈夫、ストーリーを見逃すのが怖いだけだから。」
このような会話が時々聞こえてきた。
映画が終わり、上映室内の照明が明るくなると、観客全員がまだ余韻に浸っていた。
「映画がこんなに早く終わるなんて、ちょっと短かったね!」と言う人もいた。
「短くないよ、2時間以上あったじゃない。テンポが速かったから短く感じただけだよ。」
「こんなに面白いとは思わなかった、まだ見足りないよ!」
「本当は『赤虎』の悪口を言うために来たんだ。批判するにも先に見ないとダメだと思って。でもこんなに面白いとは思わなかった。」
「本当だよ、全編通して戦いの連続で、クライマックスが途切れることなく続いて、神経がストーリーの展開についていくのに緊張しっぱなしで、少しもリラックスする暇がなかった。気づいたら映画が終わっていた。これは初めての経験だよ、映画を見終わっても長時間座っていて疲れを感じなかったなんて。」
「あぁ、家族や友達に言って、みんなに見るように勧めなきゃ。すごく面白かった!」
「そうだね、私も言うつもり!」
「この映画は両親と一緒に見るのにぴったりだよ。見ていて血が沸き立つような感じだった。」
このような会話が、各映画館で繰り広げられていた。
LINE、Twitter、SNSのタイムラインには、『赤虎』を見た観客たちの推薦の声であふれていた。
「今年のベスト映画、見ないと後悔するよ!」
「ハリウッドのアクション映画に負けていない、素晴らしい!日本映画からこんな良心的な作品が出てきたことを誇りに思う!応援します!」