「うん」橋本奈奈は心が冷えていき、淡々と答えた。「お腹いっぱいだから、部屋に戻るわ」
「ああ、家では誰も邪魔しないから、しっかり復習してくれ。お父さんは君ならうまくやれると信じているよ」橋本東祐は今や、白洲隆の勉強を見ることが奈奈自身の学習の妨げになる可能性があることを知っていた。
木下家にいた時は、奈奈は自分の勉強に集中できなかったが、橋本家では可能だった。
そのため橋本東祐は、伊藤佳代と橋本絵里子に対して、家にいる時は二人とも奈奈の邪魔をしてはいけないと命令し、特に佳代は奈奈に家事をさせてはいけないと言い渡した。奈奈にはしっかり復習させるためだった。
これも橋本東祐が間接的に奈奈への償いをしているようなものだった。
奈奈ができないなら、橋本絵里子が手伝うしかなかった。ちょうど絵里子も伊藤佳代に聞きたいことがあった。「お母さん、さっきなんで私を止めたの?」