第64章 宅配便が届いた

質問を終えると、橋本絵里子は大体分かったような気がして、ほとんど水に触れていない手を振り、立ち去ろうとした。

橋本絵里子が急に振り向くと、橋本奈奈がコップを持って裏口に立っていて、真っ直ぐに自分を見つめているのが目に入った。絵里子は驚いて悲鳴を上げ、心臓が喉から飛び出しそうになった。「な、奈奈、あ、あなたどうしてここに?」

さっき母親と話していたことを、奈奈はどこまで聞いていたのだろうか。

橋本奈奈の突然の出現に、橋本絵里子だけでなく伊藤佳代も驚いて固まってしまった。

やったことはやったこととして、伊藤佳代のような人でも、面と向かって言えることではないし、特に橋本奈奈の前で認めることなど、このような無防備な状況ではなおさらだった。

「水を飲みに来ただけよ」橋本奈奈は手のコップを軽く上げ、そして淡々と橋本絵里子を一瞥した。「いけない?」