第049章 もう仲良くしない

この人生で、重要なことに関しては、もう一歩も引かない。たとえ父親に対してでも、譲歩はしないつもりだ。

だから今日のような些細なことは、橋本奈奈は橋本絵里子の最後の願いを叶えてあげるだけだと思っていた。

橋本奈奈は橋本絵里子よりもずっと手際よく働いた。絵里子が皿洗いを終える前に、奈奈は既に掃除を終え、ゴミまで出していた。

「もういいわ、皿洗いはやめて」野菜を洗っていた伊藤佳代は、絵里子が洗った皿が全然きれいになっていないのを見て頭が痛くなった。この皿を絵里子が洗い終わったら、また洗い直さなければならないと思い:「私と交代しましょう。あなたは野菜を洗って、私が皿を洗うわ」

汚れた野菜を見て、橋本絵里子は少し気が進まなかったが、それでも伊藤佳代と仕事を交代した。

しかし、橋本絵里子が野菜を洗っているときに、毛むくじゃらで柔らかいものに触れ、それを見た瞬間叫び声を上げた:「お母さん、お母さん、虫がいる、虫がいる!」