「それはよく分からないわね。彼の実際の成績次第ね」橋本奈奈も大きな口は叩かなかった。この半年間、白洲隆は真面目に勉強していたと感じていたけれど。
この世の中には、普段の成績は良くないのに試験になると頑張れる人、普段は良いのに試験になると失敗する人、そして普段も試験も変わらない人、この3つのタイプがいる。
白洲隆がどのタイプなのか、橋本奈奈にはわからなかった。
「大丈夫だよ。試験の前に、特別指導をして問題を解かせてあげれば、なんとか合格点は取れるでしょう」橋本東祐の要求はそれほど高くなかった。前回は不合格だったから、今回合格すれば上出来だ。
「それは大きな問題ではないと思います」
「問題ないなら、そんなに自信があるなら、それは良かった」橋本東祐の顔に喜びが浮かんだ。隆が合格点を取れれば、それはかなりの進歩だろう?