橋本奈奈は冷静に部屋に入り、「お父さん、お母さん、お姉ちゃん、ただいま」と声をかけた。そして本を机の上に置き、自分のために白湯を一杯注いだ。
「お姉ちゃん?あなたはまだ絵里子があなたの姉だと分かっているの?外の人の前でお姉ちゃんの悪口を言うとき、絵里子があなたの姉だということを忘れていたじゃない?」伊藤佳代は皮肉たっぷりに橋本奈奈を見つめ、そして橋本東祐を横目で見た。今頃、橋本さんは奈奈がどれだけ薄情な子供かわかったでしょう?
橋本東祐は眉をひそめた。彼は奈奈がそんな子供だとは信じられなかった。
橋本奈奈は橋本絵里子が自分の悪口を言うことを全く意外に思わなかった。橋本奈奈は橋本東祐を見つめ、彼の目に非難の色がないことを確認して、少し心が落ち着いた。「お母さん、私が姉の悪口を言ったかどうかは置いておいて、仮に二十万円譲歩して、私は姉の何を悪く言ったの?」