第092章 どういう意味だ

「付属高校?」白洲隆は顔を上げて、橋本絵里子を見た。

「そうよ、私は付属高校の生徒なの」橋本絵里子は誇らしげに言った。付属高校は平泉で一番いい高校だったから、これで白洲隆も彼女の実力を認めて、教えさせてくれるはずだ。

橋本奈奈がどんなに成績が良くても、将来付属高校の生徒になれるかどうかわからない。それに対して、自分はもう付属高校の生徒なのだ。橋本奈奈なんて自分には及ばない。

橋本絵里子の得意げな表情を見て、橋本奈奈は口角を引きつらせ、参ったという表情を浮かべた。

「今年、誰かが僕の祖父に頼んできたって聞いたよ。付属高校に入りたいって。祖父にそんなことを頼める人は少ないはずだけど、もしかしてそれって君?」白洲隆は笑いながら、毒のある言葉を吐いた。

「……」白洲隆の言葉を聞いて、さっきまで雄鶏のように得意げだった橋本絵里子の顔が一気に真っ赤になった。

さっきまで白洲隆に良い印象を与えようとして、橋本絵里子は少し言い過ぎてしまった。まるで他の生徒と同じように実力で付属高校に入学したかのように。

白洲隆にそう言われて、橋本絵里子はようやく自分がどうやって付属高校に入ったのか思い出した。

でも、自分がコネと金で付属高校に入ったことを、なぜ白洲隆が知っているのか。きっとまた橋本奈奈のせいに違いない!

「誰を睨んでるんだ?」橋本絵里子が怒ると、白洲隆はもっと怒った。

白洲隆は目を見開いて、まるで虎のようだった。そんな迫力にお嬢ちゃんが太刀打ちできるはずがない。

橋本絵里子は心臓がドキッとして、声が小さくなった。「私、別にあなたを睨んでなんかいないわ」彼女は橋本奈奈が白洲隆の前で自分の悪口ばかり言って、評判を台無しにすることが許せなかっただけだ。

「奈奈さんを睨むなんて、お前に資格があるとでも?」白洲隆は怒りながら笑った。

なぜか、橋本絵里子を見ていると、白洲隆は学校の井上雨子のことを思い出した。

本来なら白洲隆は井上雨子を懲らしめようと思っていたのだが、井上雨子は賢く、登下校時は常に数人と一緒に行動し、決して一人にならず、トイレに行くときでさえ三四人の女子を連れて行った。

最近は井上雨子も大人しくなってきたので、白洲隆は手を出さずにいた。

目の前の橋本絵里子から受ける印象は、あの時の井上雨子とよく似ていた。